2011年11月21日月曜日

吉野秀雄



書はなぜ心引かれるか。
丸出しといっていいほど人間の出るところがたまらなくおもしろい。

                            -吉野秀雄- 歌人

これやこの一期のいのち炎立ちせよと迫りし吾妹よ吾妹

「……八月二十八日(死の前日の夜)の出来事であつた。看護婦が席をはづしてすぐ、「こんな死ぬばかりのからだになつても……」といひ出した亡妻の真剣必死の声をどうして忘れることができやうか。/彼女の人間愛の最後の大燃焼であり、炎々たる火焔の中に骸となつていつたと観るべきである。事ここに及べば、肉体も精神も糞もない。そんな分別は人間を全体として捉えることのできぬ青瓢箪者流のたわごとに外ならぬのだ――。ただこれだけをいふ。南無阿弥陀仏」(『自注・寒蝉集』)。翌二十九日、はつ死去。享年四十二。

                             -吉野秀雄-

2 件のコメント:

  1. グランマー啓子2011年11月22日 23:07

    むらくもさん ピオーネさん こんばんは

    歌人・吉野秀雄が詠う
    おおらかな和歌、大好きです
    人間に飾りが無いですねぇ

     重吉の妻なりし いまのわが妻よ
       ためらはず その墓に手を置け

    登美子夫人と一緒に重吉の二十五周忌に出た時の和歌です

    明日は又お天気悪そうですねぇ

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  2. グランマーさん、こんばんは。

    人のすべてをなんの躊躇いもなく歌にこめる人って魅力的です。
    その表現方法といい、力強い言葉といい、誰にでもできることではないように思いました。
    このような文書表現が出来る人はもう現代にはいないような気がします。
    幾つになっても勉強です。
    それがまた楽しい。

    明日、山へ出かける準備をしていたのですが、雨がぱらつきそうな気配なので止めました。
    うどん遍路などしたりしてのんびりしましょうか。

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