2011年12月23日金曜日

森と川と海



森が死ぬと川も湖も海までもが死ぬ。
川にダムなどが出来ると、その下に流れる川も海も死ぬ。
ダムが出来るとどうして川が死ぬんだろう、森が死ぬってどういうことなんだろうと誰もが疑問を投げかける。

山に生える様々な落葉広葉樹林は日本の山や森の原風景だが、いつのころからかおそらく国策で、広葉樹が伐採され、杉や桧などがところ構わず植林されてきた。
結果、川に流れる水には豊かな栄養素であるフルボ酸鉄がなくなった。
結果、川に棲んでいたあらゆる生物の減少ばかりでなく、日本の各地の海岸で、赤潮が発生しやすくなり、小魚や貝や海藻が激減してきた。
もちろん、ダムの建設や海岸の埋め立ても追い打ちをかけた。
かつての綺麗な砂浜は消え、小魚の営む藻場は埋め立てられ、川から流れてくる水も栄養の少ない水になってしまった。

その小さな実験場が瀬戸内海なのではないだろうか。
近年とみに小魚がいなくなったばかりでなく、今年はとうとう海苔が赤焼けするという最悪の事態が発生した。

青森県や岩手県をはじめ、東北では落葉広葉樹を山に植林して広めていく運動が少しずつ広がりだした。
すると山の麓の広葉樹の広がりと同時に、減少していたカキやホタテが繁殖するばかりでなく、小魚が群れ泳ぐ豊かな海岸が少しずつ戻ってきだした。
瀬戸内も沿岸奥の山々や河川、そして海岸の状態などをじっくり検証し、改善することも必要なになっているような気がしてならない。

人間による一つの自然の破壊行為は、多くの連鎖する生物をいとも簡単に死に絶やす。
いまなら、元の自然に戻すという手立てを少しずつでもしてやれば、まだ回復する力は十分に残っているとは思うのだが…。

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