2011年4月28日木曜日

突然への備え、分かっていても

「定年後はゆうゆう自適の生活ですよ」といっていたCさんは、奥さんと二人で800万円の豪華客船の海の旅に出る数日前に、心臓マヒで他界した。心労がたたったのか、間もなく奥さんが脳血栓で倒れ、退院後にボケはじめた。二人とも60代半ばであった。親と別に暮らす子どもたちは、急に未亡人になり頭がおかしくなった母親に会いに来る足が遠のくばかり。たまに来れば財産の生前分与をしつこく口にするようになった。Cさんの奥さんは、今のところ有料ヘルパーを雇える余裕があるが、低い年金の生活者だったらどうすればいいのだろう。

一人暮らしの中高年をいつ襲うかもしれない病気や怪我、特にボケや寝たきりになったとき、公的施設には入れずにいる場合、いったい、「誰が、わたしのおむつを換えるの?」という大きな問題にぶつかる。今のところ考えられる「誰」は、「お金」でしかない。

                 -「たった一人の老い支度」岡田信子著より-

これいつ襲ってくるか分からない震災よりも辛辣で、必ずや近い将来襲いかかってくる多くの人たちに降り掛かる問題。しかし、その備えは誰も出来ていないように見える。言いかえればお金持ちにしかできないこと。

悩みつつ、簡単にはできないことに、せめて笑って過ごすしかない。

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