2011年12月8日木曜日

山を愛する



日本は山国である。
どこへいっても山の見えないところはない。
市や町や村を見おろす形のいい山が立っていて、そこの学校の校歌に必ず詠み込まれるといった風である。
日本の国民は大抵山を見ながら育った。
東京だけは山に遠いが、しかし煤煙の少なかった昔は、富士山や筑波山が重要な背景であった。
日本人ほど山を崇び山に親しんだ国民は世界に類がない。
国を肇めた昔から山に縁があり、どの芸術の分野にも山を取り扱わなかったものはない。
近年殊のほか登山が盛んになって、登山ブームなどと言われるが、それはただ一時に起こった流行ではない。
日本人の心の底にはいつも山があったのである。

山という大自然の中に入って、精神の自由を満喫するのが山登りの醍醐味。
登山は体力を競い記録を競うスポーツではない。

                                  -深田久弥-

1971年3月21日、山梨県の茅ヶ岳に登っていて、山頂近くの尾根に出たところで脳卒中に倒れ、68歳の生涯を山で終えた。


S-10*5、DB10*5、F10*5 、R-20*5

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