散髪に行った。
いつもの床屋さん、おしゃべりの大好きなおばちゃん、今日は少し寒いのか、ほんの心持ちだけ口の動きが鈍い。
しかし、こんなことを言った。
「お金は持てば持つほど欲がますます深まるぞな、あんた。どうもそんな気がする。」
「あたしゃ~、そんな人よけ~こと見てきた。」
「ところが不思議なもんでな、お金を持ってない人はあっさりさっぱりした人が多い。」
「こういう人はほんま気持ちがええ人やがな。」
「なるほどな~、一理あるわ。」
「お金を持ってないと、それ以上減る心配ないしなんも考える必要ないわな、持てば持つほどそれを運用したくなるし、その為に欲の皮がつっぱりそうや。」
「は~、なるほど、ほいでわしゃ気立てのいいあっさりっとした性格なんやな、アハハ。道理でお金がさっぱりないと思うたわいや。」
「そうやな、あんたお金持ってないのすぐに分かるわ、人は見かけどおりやな。」
「………」
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