生き物博士千石正一さんが
闘病生活のときに死を意識し
最後のメッセ-ジとして
残した言葉がある
俺は、はっきりいって重病人だ。
正直、いつ死ぬかわからん状態にある。
俺の体には今「ガン」というやっかいなもんが棲みついている。
それは、少しずつ育っていて、やがて俺を食い尽くすだろう。
でも、ダメなものはダメだから悩んでも仕方がない。
しょうがねえものはしょうがねえからな。
病気のことで悩むのは俺の仕事じゃない。
病気の治療で悩むのは、医者の仕事。
だからくよくよ考えない。
生き物は必ずいつか死ぬ。
これは人間に限らず、すべてのいのちにいえることだ。
けれど、それが「いつ」かはわからない。
ただ、俺には近い将来死が訪れる。
これは確実だ。
そこで考えた。
たとえ自分のいのちが終わったとしても、自分の考えが残っていれば、
それは「いのちがつながっている」ということだ。
だったら、俺の考えを書き残しておこう、と。
目の前に「死」が現れたとき、物の見方がほんの少しだけ変わった。
まず、自分と同じく「死」に近い状態にあるものに敏感になった。
そして、気づいたことがある。
それは「地球も病気だぞ」ということだ。
地球が病んでいることを、ひしひしと感じるようになったんだ。
自分が弱っていると、
同じように弱っている地球の状態が今まで以上にわかるんだね。
地球は今、死にかけている。
すぐになんとかせな、あかん。
自分が似たような状態に置かれているからこそ、よけい強く感じる。
地球にも「いのち」はある。
その地球が死んでしまったら、地球上の生き物はもう生きていけない。
俺の大好きな生き物たちが。
だから、もっと地球の声に耳を傾けてほしい。
そして、これからもずっといのちをつなぎ続けていってほしい。
これが俺の願いだ。
いのちはみんなつながっているのだから。
2012年2月7日満62才没
「つながりあういのち」千石正一著書より抜粋
-スズコウジュ-
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