2012年5月17日木曜日

一つの命


ブナの寿命は、せいぜい200年か300年
その倒木にはヒラタケが生える。

「私たちは、(これを採るのに)根本を残しておくから、
後からまたキノコが生えてくるのです。
全部採ってしまうと、もうそれでお終いです」

倒木は、いわば、ブナの「死体」。
ブナという生命体が一つはかなくなることで、
様々な生きものが「助かる」。

ブナの倒木はキノコの培地となり、
苔が生え、カミキリムシの幼虫の巣となる。
倒木の周囲にできた空き地に太陽の光が差し込み、
新たに芽生えて大きくなっていく草や木がある。

一つの生命が地上の限られた時間を終えることで、
沢山の他の生物が「助かる」。


                  日本のクリア-茂木健一郎著-

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