2019年7月31日水曜日

夏のジョギング



真っ白な 夾竹花に 雲浮かび

夕方、やや日が傾き
汗をかきかき山裾の道をジョギングしていると
畑に植わった夾竹桃が目に入った
夾竹桃は桃色の花ではなく真っ白で
少し離れた位置からだと
夾竹桃とは気づかずに
それは夏の真っ青な空に映えて
強烈に眩しく感じた

西に傾いた熱い太陽と青い空と白い雲
目に染み込むような白い花とが
夾竹桃は桃色とばかりに刷り込んだ脳みそに焼き付いてしまって
帰宅してもしばらく離れなかった
 

2019年7月30日火曜日

テント泊


山女 喘ぎ登りつ 口軽し

稜線でモルゲンロートを見ようと
重いザックを背負って急斜面を
喘ぎながら登ってくる

わたし、朝一番で上高地からここまで
歩いてきたのね
これから稜線へ上がってテントを張って
明日の朝、穂高から槍ヶ岳の朝焼けを見たいわけ
でもね、ここまで歩いきて
もう心が折れそうなの
でもライチョウにも逢いたいし
頑張ってるわけ
 
言葉とは裏腹に
語る顔は満面の笑み
うー、いい顔をしているな~
明日も晴れますように


2019年7月29日月曜日

マイッタ



山のメシ どんぶり5杯 まだ足りぬ
 
大正池から横尾までの13.5kmほどの道のりを
とことこと歩いて食事時間も入れて5時間余りもかけて
やっと横尾に着きその夜は山荘で寝た
 
その翌日蝶が岳へ登りピストンし
再び横尾山荘でもう一晩泊まることになった
夕食は5時半から
食堂に行って、さてお櫃からお茶碗にご飯をよそって…
と思ったら、先客の方が食べてしまってて空っぽ
いやー、みなさん食欲旺盛、さすがだな
スタッフの方にお櫃のお代わりをお願いして
さて食べよう
 
お櫃は6人席に一つずつ置かれている
斜め前に座ってる一人の男性が、お茶碗にもりもりに盛りつけ2杯たいらげ
お代わりしたお櫃をたちまちに空っぽにした
そこからが圧巻
その男性は隣組の席に置いているお櫃に向かって突撃した
一杯、二杯、そのお櫃も空っぽにし、おかずが足りないとポツリ、
味噌汁の鍋も空っぽにし、鍋底を恨めしそうに覗いていた

うーむむむむ
槍ヶ岳をやってきたのだろうか、重戦車並みの食事量だった

2019年7月28日日曜日

蝶ヶ岳



ヤッホー おれたちいま 雲の上

登山口で出会った150名もの学生さんたち
初めての学校登山だ
途中、高山病にかかる子たちもいたりして
休み休み登ってゆく

先頭はガイドさん
子らの歩みに合わせてゆっくりゆっくり
後ろから歩く先生が心配そうに一人一人に声を掛ける
〇〇、大丈夫かー!
呼ばれた生徒は膝に手をやり俯き加減の体を支えてるが
聞こえてくるのは喘ぎ声

そんな子たちも、やっとやっと登った山頂で
ヤッホーの掛け声と大歓声
 

2019年7月27日土曜日

暑夏



梅雨明けの 入道雲 へボラ跳ね

浜辺へ出かけてみると
砂浜で投げ釣りをする人がいて
足元に白い波が打ち寄せている
糸先のおもりをポンと沖へ放り投げると
その近くの海面でボラが一匹白い雲に向かってポチャンと跳ねた
釣り人はボラには無関心を装い
ゆっくりとリールを巻き、糸を何度も手繰り寄せるがその都度空振り

ボラはさらに沖へと跳ねてゆき
とうとう見えなくなった

2019年7月20日土曜日

黴る洗濯物


雨上がり 子ら口ずさむ にじの歌  

洗濯物が一日ぬれて
風にふかれて くしゃみをひとつ
雲が流れて光がさして
見上げてみれば ラララ

虹が虹が 空に架かって
君の君の 気分も晴れて
きっと明日はいい天気
きっと明日はいい天気


んがー!明日も明後日も分厚い雲の下





2019年7月19日金曜日

イブキトラノオ


山道具 準備しつつ 外は雨

来週には上高地へ行こうと
あれやこれやと段取りをしているが
長梅雨はいっこうに明けそうにない

学生たちが夏休みに入る前の
この時期が山は混雑しないし
高山植物の花たちも次から次へと咲き
ちょうどいいのだ

ところがだ、台風5号のおまけまでついてきた
ついでに梅雨前線も一緒に連れて行ってくれればいいのに
なんて、虫のいいことを考えてはみたものの
そうは問屋が卸さない
予報では梅雨明けは再来週の27日頃になりそうだとか
がっくり
黴が生えてきた

2019年7月18日木曜日

滝そばの登山道



梅雨晴れ間 ツクツクゼッゼ 山の中

3日ほど前からツクツクボウシが鳴きだした
今年の梅雨は異常に雨が降るが
ときおり晴れ間が広がり、日が射しこむと
それっとばかりにセミが鳴く
クマゼミに続いてツクツクボウシが鳴きだした
わたしが子どもの頃、やらたらとアブラゼミが多かったが
最近、アブラゼミの数は減っているようで
それほどには見かけなくなった
 
一方で年がら年中鳴くセミがいる
耳の中で鳴き続けているのだ
365日毎日のことなので慣れてしまった

2019年7月17日水曜日

コシロネ



病伏し はじける友の 笑顔あり

重い病気に罹って緊急入院した妻の友のお見舞いに行った
ドキドキしながら病室に入ると、妻の顔を見て
破顔の笑みを浮かべて迎えてくれた
わたしたちも友の笑顔を見て思わずうれしくなってしまった
その後、普段と変わらぬ屈託のない会話
いろいろと考えるところはあるだろうに
病気のことや不安なことなどおくびにも出さなかった

くよくよしても仕方ないこととはいえ
人は簡単に割り切って生きていけるものではない
でも、他人に暗さを感じさせないその友の凛とした姿には
ほんとうに頭が下がりました


※湿原に咲く小さな花、仲間にコシロネ、ヒメシロネがある

2019年7月16日火曜日

ミミカキグサ



さらさらと 湿原に咲く 花揺れて 
 
小さな小さな花が、山の上から流れてくるところで
わずかに揺れて咲いていた
小さな湿原だが、貴重な花たちが次々と咲いている
湿原に流れ込む山水は
少しずつ下へと移動し、沢になり
やがて滝になりしぶきを上げて落ちてゆく

ミミカキグサは3~4mmほどの黄色い花をつけるが
小さすぎて普通のレンズではうまく撮れない
ボケてしまいました



2019年7月13日土曜日

モウセンゴケの赤花



電線で グジュと鳴く 燕の子

大きく育った燕の子らが、電線に
横一列に止まって
親がその近くをピュッと飛ぶと
一斉にグジュグジュと鳴く
なかには口を大きく開ける子もいる

やっと巣から飛び立ったのだが
まだ完全には親離れが出来てなく
餌をねだっている

防災のため川原で草木の伐採が始まった
よく見かける草刈り機などではなく
重機で大きな音を立てて刈っていて
センダンやねむの木などはバリバリと根こそぎ
倒されている
燕たちは藪から飛び出てくる虫を
捕まえるためか、何羽も集まってきて
シューシューと旋回していた

2019年7月12日金曜日

ヤブカンゾウ



クマゼミや 梅雨の晴れ間に ソロ聞かせ

晴れた
裏山の木でクマゼミの初鳴きを聴いた
雲辺寺へ出かけた
遍路道を歩いた
やはりクマゼミの鳴き声が聞こえてきた
どちらも合唱ではなくソロだった
明日からまた雨の日が続くが
次の晴れ間では大合唱が聞けるかもしれない
喧噪な夏がもうすぐそこだ

2019年7月11日木曜日

ヒメウツギ


雨上がり 湿気る戸を開け 掃除かな

長雨が続いている
雲間からほんのちょっぴり
陽が射すと、ますます蒸しっとするが
この時とばかりに掃除機を持ちだす

思い切り戸を開けようとするが
湿気っていて重たいこと
力を入れても開かないので体重をかけて開ける
普段はつるつるーっと開くが、ずりずりずりーっと
誰かが逆らって戸を引っ張っているような

さーて、明日は少しの晴れ間が出そうだ
近くの山を歩いてみようかな



2019年7月10日水曜日

つゆ草



藪野に 蚊追いしトンボ 行き交いて

蚊は夏6月の季語
トンボは秋9月の季語
なんとなくだが、近ごろの気候は
季節感を変化させているような気がしている
今年は特にトンボがこの時期に
たくさん飛んでいるのを見かけるので
季語を無視し感じたままを句にした

おかげで蚊がいない
まあ、秋になると蚊はかなり凶暴になって
人を襲ってくるようにはなるので
このままではすまない
奴らも人の血を栄養にして
元気で丈夫な子孫を残すのに必死なのだ

2019年7月9日火曜日

新しい登山靴



長梅雨に 買ったばかりの 靴飾り

5年ほど履いた登山靴がボロボロになって
とうとうソールが剥がれそうになった
7年8年と長く履く方もいてるが
わたしの場合はほぼ5年しかもたない
履き方が悪いのだろうか
藪歩きが多いからか
それともただ単に足癖が悪いからか
とりあえず、おニューを買った

んがー、天気予報はずっと雨か曇りばかり
行く山は決めているが雨ではなー
仕方がないので床の間に飾って眺めている

2019年7月8日月曜日

おいしいよー


ちめたいぞ アイスクリンは いらんかえ

この日は暑くて黙ってても売れる
ところがそうは甘くない
アイスクリンのおじさんは日焼けして顔が真っ黒けだが
暑くて汗が流れるというほどでもなく
わりと涼しい風が吹いていたのだ

後ろに咲いているひまわりはなぜか
みんなそっぽを向いている

どなたかアマチュアカメラマンの方が
おじさん一枚撮らせてねと言って
カメラを構えたので
わたしも一枚と言って
渡りに船とばかりに相乗りさせてもらった

お礼を言ったのはいいのだが
肝心のアイスクリンを買うのを忘れてしまった
おじさん手持無沙汰であきらめ顔でした
いやー、申し訳ないことしました

2019年7月5日金曜日

萩の花



山城や 遺構残して 夏の萩

綾歌にある城山を歩いた
この山頂には今から650年ほど前に
築かれた山城があった
西長尾城と呼ばれていたそうだ
遺構には土塁、郭、堀切、竪堀、井戸
そして櫓もある
井戸には水が満ちていた

標高375.2mの山頂は丸く平らで
低い萩の木がいくつも茂っていて
トンボや蝶など小さな虫たちの天国になっていた

この城、後ほど長曾我部によって
城主が替わり国吉城と呼ばれるようになったが
1585年、長曾我部の撤退により城としての歴史は終わった

2019年7月4日木曜日

テングチョウ



選対に ずらり並ぶは もみじマーク

参院選がスタートした
最近閉じたはずの店舗が賑わしい
ある候補が選対事務所にしたようだ
事務所前にはわんさか車が並ぶ
どれももみじマークや四葉マークがついていて
驚いた
わおー!血がたぎってる
老人パワーは健在だが
事務所から勢いよく発進しないかとドキドキする
うーむ、日本の政治家は圧倒的な人たちに
支えられてるのね

党首討論で、ある党首が
マスコミの質問が気に入らないといって
多くの人たちが見守るカメラの前で質問者に噛みついたそうだ
大人げない

2019年7月3日水曜日

長雨



こんもりと 垣に纏わる 灸花

写真と句が違う!
ところがその灸花、折角撮った写真
気に入らずほかしてしまって句が残った
灸花、別名へくそかずら
漢字もそのまんまで屁糞蔓

もう一度撮り直しに出かけよう
と言っても、実は家のすぐ近くの
ご近所さんの垣にあって
この長雨でまだ蕾状態だ

好きな句がある
外海が 見えないへくそ かずらかな  
               今瀬剛一

へくそとかずらを区切ってるところがなんとなくかわいらしい



2019年7月2日火曜日

やまもも


床掃除 腰曲がりて 玉の汗

掃除機を握って腰を深くかがめて床を長らく掃除していたら
翌日になって腰が痛くて伸びなくなった
年寄になると体のあちこちと不具合なところが出てくる
その不具合とうまく付き合うのが老後だと
いう人がいるが、実際のところ
うまく付き合える人なんかいない
要するに諦めなさいということだ

やまももが神社の境内で
たくさんの実を生らし
地面にぼとぼと落下している
3つ4つ枝からもいで口に含むと
ほんのりした渋みと甘みがある

石段の傍にある東屋からは
瀬戸内が広がっていた

2019年7月1日月曜日

シロツメクサとベニシジミ


午睡覚め ぼーっと座り 10分

梅雨に入り蒸せるようになると体が怠くてなる
ご飯を食べた後なんかはもう眠くて
畳にごろんとひっくり返って寝てしまう

10分や20分ほど短く寝ると
なぜか目覚めもよくしゃきっとするのだが
1時間もときには2時間も寝てしまう
こんなときは起きたときに
間違いなく頭がぼんやりして思考力ゼロ
しばらく畳の上で座るなどして
ボーッとしてる

遠くの沖合で船の汽笛が鳴ってるときのように
頭の中でボーボーっと何度も聞こえてくるような気がするのだ