先日、偶然にも山頂で出会った方と
一般ルートでないルートを下山する機会に恵まれた。
以前から興味のあったルートでしたが、
そのルートを磁石と地図を持って一人で歩くにはちょっとした勇気が要る。
ルートファインディングする計画は自然と延び延びになっていた。
思いがけないいい機会。
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いろいろとお話ししながら下っているうちに
その方は先週にもこのルートを通っており、
その際に落とし物をしたのだという。
今日はその落とし物を回収するために
同じルートを通るという。
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ふむふむ、そうなんですか、なんとなく聞き流しながら
相づちを打ちながら、わたしは磁石と地図で地形と
方向と景色を頭に叩き込みながらその方を追う。
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その方はときどき立ち止まりながら方向と
ルートをしきりと確認している。
手元を見ると小さな器具と地図。
その器具をよくよく見るとGPSでした。
G社製のものだ。
少しは知識があったので、オ〇〇ンですか?と尋ねたが返答はなかった。
ところがどっこいいろいろお話しを聞いているうちに
その製品はダ〇タ・20(英語版)という
最新式のものだということが後日になって分かった。
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しきりと先週のルートをチェックしながら歩いているが
そのルートは明らかに北北西への尾根を下っている。
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突然、「あったー!」と大声。
足元を見ると、先週に落としたと思われる
黄色い布袋に入れられた物。
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なんとたまげた、GPSに従って、先週に歩いたルートを
寸分違わずにその上を歩いていたらしい。
因みにこのルートには踏み跡はほとんどなく、
特に落下地点にはまったくその痕跡はなかった。
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GPS恐るべし。
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この機械があれば、一寸先見えないホワイトアウトの山でも
道迷いなどという事故は起きないだろう。
しかし、同時にこの便利なものは
山歩きにとって醍醐味のルートファインディングという楽しみを
奪い去ってしまうものだとも感じた。